統計や機械学習を扱うことができる人間が世界中で求められています。
2009年には既に、New York Timesにこのような記事が掲載されています。
“I keep saying that the sexy job in the next 10 years will be statisticians,” said Hal Varian, chief economist at Google. “And I’m not kidding.”
“We’re rapidly entering a world where everything can be monitored and measured,” said Erik Brynjolfsson, an economist and director of the Massachusetts Institute of Technology’s Center for Digital Business. “But the big problem is going to be the ability of humans to use, analyze and make sense of the data.”
グーグルのチーフエコノミスト、ハル・バリアン氏は「私は今後10年間で魅力的な仕事は統計学者になるだろうと言い続けている」と語った。 「これは冗談じゃないよ。」
マサチューセッツ工科大学デジタルビジネスセンター所長で経済学者のエリック・ブリニョルフソン氏は、「私たちはあらゆるものを監視し、測定できる世界に急速に突入している」と語る。 「しかし、大きな問題は、人間がデータを使用し、分析し、理解する能力になるでしょう。」
「For Today’s Graduate, Just One Word: Statistics」『New York Times』
2009年8月5日
データはたくさんあるが、それを分析する能力がない、分析できる人がいない。2009年から言われていることですが、少しは改善したものの、解決には至っていません。
こうなることを予測してか、ニュージーランドでは2000年以前より小学校~高校にあたる年代の統計教育に力を入れ、2007年には「数学」を「数学と統計」に名前を変えて実践的な教育を行っています。また、イギリスではほぼ全ての高校生が受けるGCEというテストに理系に進まない生徒向けの統計科目を設置しました。もはや「文理問わず全ての学生に統計学が求められる」状況になってきています。
以前より統計教育に注力してきたニュージーランドやイギリスに比べ、我が国の統計教育は遅れていると感じます。ようやく数年前から中高の教科書に統計分野の記述が増えてきたものの、他にも教えるべきことが多く、主に授業時間数の関係から、実践的に統計分野を扱いにくいという課題があります。
しかし、数学のどのような単元よりも統計分野は実践的な取り組みが大切です。なぜなら、多くのデータを可視化し分析することは、今後生きていく上で課題解決・意思決定の「材料集め」として、非常に大切なものだからです。このサイトでは、実践的に統計分野を扱った教材(動画・スプレッドシート等)を提供します。教材・授業自体は小中学生を対象にしているため、難しい数学は基本的に扱わず、感覚的な理解に努めます。
このサイトにおける、統計の教材の目的は以下の3つです。
- 世の中にある比較的小さいデータベースを図表化できる
- 問いに対して、図表から読み取ったことを元に考察し、答えを出すことができる。
- 図表化・分析・考察をPPDACサイクルに則って統計ポスターに表すことができる。
これを達成するために、ほとんどの教材を次のような2部構成にしています。
まず、こちらが用意したデータでPC、主にGoogle Spereadsheetの操作を確認します。次に、課題に取り組みます。課題は実際に社会にあるデータベースをもとに図表を作成し、そこから値を読み取り、自分の考えを書く「統計ポスター」を作成するものです。この過程を経て前述の3つの目標を達成することを目標にしています。
最終教材では自分で問いを定めて、計画を立て、データを分析し、結論を出すことを課題としています。それまでに学習した内容を総復習することになりますし、それまで学習してきた成果を再確認する良い機会になるでしょう。
学校の授業や、夏休みの自由研究にもおすすめですが、本来の目的は「力をつける」ことです。ここで培った力が、今後の皆さんの課題解決・意思決定をより良いものにする一助となれば幸いです。